貧乏留学生の黴れた美学

疾風怒濤の留学生活

タトゥー・刺青、そして銭湯

こちらのテレビをつけたら刺青・タトゥー特集をやっていた。
伝統的な彫師や刺青にまつわる小話などを紹介していた。
驚いたのが、オーストリアの皇后エリーザベト(シシィの愛称で知られる)も
タトゥーを入れていたそうだ。

そんな中、日本の銭湯も話題に出て、こっちのジャーナリストが実際に
タトゥーが原因で退店を命じられていた。
ヤクザ・暴力団関係で入店はお断りしているということだった。
東京オリンピックに向けて、この規制は緩和されていく方針?だそうだけれど、
まだまだ日本では刺青・タトゥーはドイツ程浸透はしていない模様。

 

ドイツではどうなのかというと、
大学ではタトゥーを入れている学生もいれば、入れてない学生もいるといった感じ。
実際に統計を取って調査した訳じゃないけど、まぁ入れてない学生の方が
多いかなという印象。服に隠れて見えないところに入れてる学生も含めると
どうなんだろう。まぁ、学生間でタトゥーによって不当に扱われるということはない。
実際、僕の友達も入れている奴もいれば、入れてない奴もいる。
街中では、服に隠れない程大きなタトゥーを入れている人は大勢いる。
入れるのも入れないのも個人の自由といった感じで、別段気にしてる感じはない。

じゃあ、例えばタトゥーを入れた人が銀行員にいるか?というとそうでもない。
こちらの銀行はモダンで洗練された雰囲気を打ち出していってるので、銀行員の方々は
スーツに革靴でビシッと決めてたりする。なので目につく場所にタトゥーを入れてる
人は見たことない。
やっぱり色んなお客さんと関わる職業ではタトゥーを入れてる職員は使いにくいんだろうね。

 

さて、日本の話に戻るけど、
日本での問題点は、タトゥー反対論者の主張が説得性に欠けるところではないだろうか?タトゥーをめぐる議論で上がるのは大体以下の点だろう。

・ヤクザ・暴力団関係者に対する恐怖
・刺青・タトゥーは犯罪者の印だった
・衛生的な問題・感染症防止
・気持ち悪い、ただ単に嫌だ
・日本人には似合わない
・ここは日本だ
・タトゥー規制はドレスコードだ

 

抜けているところがあるかもしれないけど、
これでは海外の日本とは異なる文化背景で暮らしている人を
説得するには不十分だと思う。

 

一つ一つ僕の見解を述べていくと...

 

まず、ヤクザ・暴力団に対しては公然と反対の意思を表明すればいいのでは?
それとも刺青を入れているということが大切なの?刺青を入れていないヤクザも
いると思うんだけど。ヤクザが怖いからという理由で、ヤクザでない外国人を規制する理由にはならないと思う。

それから、タトゥーは犯罪者のもの・印だったと言う人もいるけど、そもそも

日本における刺青の歴史は長く遡れば縄文時代からあるし、江戸時代にも
刺青を入れた飛脚の写真とかも残っている。犯罪者だけのものではないでしょう。

衛生面で言えば、針の使い回しが原因で感染症になることはあるかもしれないけど、
それは教育で改善できる問題でしょう。温泉・プールで刺青のある人と一緒になったら
感染するのなら、ドイツでは今頃大問題になってるはずだけど、そういう話も聞かない。

気持ち悪い・不快だと主張する人は、例えば僕がハゲの人が不快だから
規制しろと言ったらどう反応するんだろう?
気持ち悪いと思うなら、それはそれで尊重するけど、だからと言って
他人の行動を規制するに足る理由にはならないよね。

似合わないって理由も、じゃあ誰が似合う似合わないを決めて、
似合う似合わないで他の人の行動を規制していくの?
デブの人はスポーツカーが似合わないから乗るなと言っているのと同じ。

ここは日本だという主張も言いたいことはわかるけど、
どんどん国と国の距離が近くなってる現代社会でどこまで通用するのかが疑問。
「郷に入っては郷に従う」って言葉もあるし、それは尊重すべきだと思うけど、
外国人観光客によって潤っている観光都市もあるだろうし、日本だけで独自で
やっていきたいのなら、じゃあ貿易や多国籍企業はどうなるの?
企業が工場を海外移転したり、外国産の安い製品にも反対してるの?
そもそも日本の政治も教育制度もヨーロッパから輸入したものだけど、
じゃあそういう人達は民主主義も否定するのかな?

ドレスコードに関して言えば、確かにそうだよね。
客が店を選ぶように、店にも客を選ぶ権利があると思う。
刺青・タトゥーを禁止しているお店はそのポリシーを貫いて、
仮に今後どんどん緩和されていってタトゥーを入れた客を失うことになっても、
それで他店と競争していってもらえればいいと思う。
ドレスコードを設けている店は、別に世間体や規制を気にしているのではなく、
店の雰囲気を考えてのことなんだし。

 

相手を納得させたいのなら、
ただ漠然と日本でそうなっているからでは弱くて、
ちゃんとその根拠・主張の正当性を示さなきゃならないよね。
でも、この刺青・タトゥー問題に関してはそこがイマイチなのが残念。
逆に言えば、ちゃんと説明できるのなら海外の人も納得してくれると思う。
今のままでは単なる刺青・タトゥーに対する偏見に基づいた差別だと言われても
仕方がないように思える。

 

僕は別に刺青・タトゥー入れてても気にならないけどね。
こういうこと言うと、じゃあお前は入れているのかと言われそうだけど、
僕は入れてないし今後も入れないと思う。
タトゥーに賛成することと、自分が入れるというのは別次元の問題であって、
互いに何の関係もないと思う。

 

自分にとって人と関わる時に重要なのは、
相手が刺青・タトゥーを入れているか入れていないかではなくて、
その人が何を考え、何をしている人なのかだから。
表向きにどれだけ良い人そうに見えても、例えば電車の中で痴漢しているのなら
僕はその人を最低な奴だなと思う。
タトゥー入れてる人に関しても、何となく入れて後悔してる人とかは

正直かっこ悪いなと思う。

相手に見られているかどうか、世間はどう見るかで行動するのではなく、

自分で考え行動して、その結果に責任を持つことは大切だよね。

 

ただ何となく偏見でタトゥーが嫌だからという理由で、

相手を拒絶したり、蔑んだりバカにしたりするような人は、
その人の社会経験不足であったり、品性が問題なのであって、
僕は相手のことを尊重できる社会が過ごしやすいと思う。